わー! へぇ!! すごい!!
驚きの連続、知のワンダーランドへようこそ



本書では、一般には公開されていない地下収蔵庫の中に入り、収蔵室を巡りながら、標本の世界の魅力を紹介します。 数や種類、その役割など、 基本的な情報から始まって、剥製標本の顔の表情に着目したりと、 学問の枠にとらわれない切り口で、不思議なモノたちの面白さに迫って行きます。

巻末には美術作家·伊藤存による標本制作のためのフィールドワークを収録。アカネズミを捕まえて、 それが標本になるまでの様子を精織なスケッチでレポートします。
エレベーターで地下へ。そして、標本 たちの収まる部屋へ。
知の好奇心を 満たす旅が始まります。

京都大学総合博物館とは?

260万点の資料を収蔵する全国でも有数の大学博物館。 2001年に開館して以来、常設展示と企画展を中心に、特別展なども行う。 本書は一般には非公開の地下収蔵室が舞台になっています。

京都大学総合博物館 HP 

さまざまな標本がある

動植物から化石や鉱物まで、希少種から身近な生物まで、年数を経たものからごく最近のものまで。本書では、自然史に関わるたくさんの標本たちを紹介しています。そのすがたやかたちは、実にさまざま。「なぜこの姿で?」「なぜこんなにたくさん?」…標本を見て浮かぶさまざまな疑問を、標本たちの写真と丁寧な解説で紹介していきます。

本書ならではの楽しみ方

標本にも表情がある? よく見るとそれぞれに表情が見えてくるような…。

愛でたい標本 標本の中には所有して愛でて楽しみたいものも。 鳥類や貝類の標本などはその筆頭

収蔵室を出て、フィールドワークへ

「アカネズミを捕援して根本をつくるまでのこと」 絵と言葉 伊藤存

収蔵室を出て、フィールドワークへ。アカネズミを捕獲して標本を作るまでを詳細レポート。標本出生の秘密が明らかに…!

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本書を愛する各界のみなさん、書店員さんからコメントをいただきました。


植島啓司(宗教人類学者)
なんだかすてきな絵本を見ているみたい。標本の本、見せ方でこんなに違ってくるのですね。ずっと見入ってしまいました。小川洋子さんの解説も渾身のエッセイで感動しました。ここまで思い入れを持って書いてくれる人はなかなかいないでしょう。村松さんもまた控えめで、たしかな編集の力量を感じさせてくれています。さすがですね。いつもどこかの調査に連れていきたいと思っています。ポケットに「地球」を詰めてと言ったら大げさですが、そんな気持ちで。

江南亜美子(書評家)
世界のあらゆることを知りたい。じっくり観察したいし、細かく分類したいし、珍しいものを半永久的に保存したい。そんな人類の貪欲な願いを体現するひとつの方法が、標本作りなのだろう。標本は、知を継承する。この『標本の本』は、ふだん立ち入ることのできない博物館の収蔵室へ、そして人類の叡智が結集する場所へ、私たちを誘うツアーガイドブックなのだ。

勝井祐二(音楽家/ヴァイオリニスト)
ページをめくるたびに「おおっ!」と思う。 驚きながらも自分の頭の中が少し整理されて行くような気になる。 そして次のページをめくるのが楽しみになって、少しだけ物知りになった気がして頷いてみる。 その時間は、とても素敵な風が吹いたようでした。

福嶋亮大(文芸批評家)
標本はいきものたちの時間を仮止めし、博物館は標本たちの時間を仮止めする。わたしたち人類とて、宇宙という博物館にほんの一瞬並んでいるだけの、はかない存在だ。けれども、その一瞬になんとキレイで、ヘンテコで、哀愁を誘い、笑いを呼ぶ、たくさんのモノたちが集まっていることだろう!そう、この『標本の本』こそ宇宙のミニチュアなのです。

藤野可織(小説家)
標本は世界の破片だ。『標本の本』は、そのことを思い知らせてくれる。

山村光春(編集者・ライター)
全動植鉱物好き涎垂もの!の圧倒的なリアルとファンタジーの応酬。しかもヴィンテージ好きの心さえちゃっかりくすぐるところも。馴染みのない標本の世界をふたりの著者が楽しく、ときにシニカルに誘ってくれて、軽いショックとともに、ジワる笑いさえ込み上げてくるって、どういうこと?それはめくればめくるほど分かります。

山本精一(音楽家)
以前、写真集のようなサイズで出版された「標本の本」が文庫本で出ることになり、久しぶりに読み返してみて、やっぱり魅力的な本だなと改めて思う(文庫サイズの方がどういうわけか写真がより綺麗に感じる)。不思議な標本の数々をこうして眺めているだけで、なんというか満ち足りた気持ちになる。人間は何かを蒐集、分類、整理したり、標本箱を嗜好品のように愛でたりするのがきっと理屈を超えて好きなのだ。学術的な意味合いとは別に、そうしたある種のフェティシズムを喚起させる要素を、標本という「オブジェ」は多分に孕んでいるし、この本はそのことを自然体で伝えている。とりあえず持っておいて、たまに眺めたりしたい本だ。

川村啓子 (湘南 蔦屋書店)
命を終えた動植物や昆虫、魚類、鉱物・化石などの「地球の宝物」は、 それぞれの保存目的に応じて乾燥や液浸、剥製化など、人の手を通した処理を施され、最後にラベルを貼られて、標本という「未来への贈物」になります。 普段なかなか入れない収蔵室が手元に置ける文庫になって、人類の財産の標本たちを独り占めできるような幸せを感じます。

鈴木潤 (メリーゴーランド京都店 店長)
店に小さな男の子とお母さんがやって来た。ゆっくりと本棚を眺めながら男の子が選んだのは『標本の本』お母さんもパラパラと中身を見て「面白そうね」と言って買ってくれたのだ! 私は我慢できずに「いくつですか?」と尋ねると「5歳です」と答えが返って来た。5歳の子の心も掴む魅力がこの本には詰まってるのだと嬉しくなった。

星野耕士 (丸善京都本店 副店長/理工)
ハニワ、てこんなの? 靫埴輪の大きさ、というか神輿みたいな鎧みたいなカタチに驚きました。お人形みたいなのだけがハニワではなかったのですね。 京都大学総合博物館は、明治30年の大学創設以来の、国史学・地理学・考古学、理学部・農学部・教養部で収集された一次資料、工学部などでの器具や資料などの歴史的価値の高いコレクションを広く研究に活用されることを促進するとともに一般に公開することを目的に設置されました。 常設の考古学展示室では市内で発掘されたキリシタンの墓石や、北白川の遺跡群が展示されています。さらに化石から見る進化コーナーでは、またまた巨大なナウマンゾウの頭骨が。そして、やはりニホンカモシカやらツキノワグマの標本にはたじろぎます。ニホンカモシカは、骨格標本と剥製(?)を並べて、両方とも動き出しそう。。 その総合博物館の地下には、一般には公開されていない地下の収蔵室があり、その標本を豊富なビジュアルとともに解説したのが本書「新装版 標本の本 京都大学総合博物館の収蔵室から」です。一般公開ですから、サラッと展示されてたニホンカモシカですら雰囲気ありましたから、ここで紹介されているフラットスキンや液浸標本はナマで見るのは勇気がいります。ジャコウネコやキツネの 表情は、狂ったケモノのよう(当たり前か)。 まさに100年に及ぶ京都大学の研究・フィールドワーク積み重ね 長い歴史が感じられる一冊です。

PROFILE

  • 新装版 標本の本
    -京都大学総合博物館の収蔵室から

    著者

    村松美賀子
    伊藤存

    文庫解説

    小川洋子(小説家)

    仕様
    判型:文庫
    280 頁(オールカラー)
    製本:上製
    ISBN978-4-86152-724-1 C0070
    定価
    本体1,500円+税