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対談「絵画の歴史」 デイヴィッド・ホックニー×マーティン・ゲイフォード

1. 「絵画の歴史」洞窟からコンピューターまで

※日本語字幕をオンにしてお楽しみください。

「絵画の歴史」

MG まず「絵画の歴史」という書名について話しましょう。
“ルネサンス美術の歴史”でも“バロック美術史”でもない
「絵画の歴史(history of pictures)」なんて書名は初めてでしょう。

DH そうだろうが妥当なタイトルだよ。
この本では、写真や映画 テレビまで扱う。あらゆる種類の画像(picture)をね。
画像を作る諸芸術の関連性を指摘する本だよ。
画像について語るべきことはたくさんあるが、今まで十分に議論されてこなかった。

洞窟からコンピューターまで

MG 画像は文字より古い言葉より古いかもしれません。
現存する最古の画像は約3万年前のものですが、(画像の)誕生はそれ以前です。
画像を制作する欲求は人間の本能なんですね。

DH 洞窟に暮らしていた原始の人間たちが最初に壁に描いたものは、動物だっただろう。
その様子を見ていた人は――鼻で笑ったかもしれないね。“それなら見たことがある”と
描かれたものを――「識別」したんだ。

最初の画像は何かに似たもの、何かの描写であったはずだ。
それは恐らく動物だっただろう"食料でも脅威でもある身近な存在だからね。
動物を描いたに違いない。それを見た人は――“これに似たものを見たことがある”と言った。
画像によって「見ること」を学んだんだ。

次回――「広重からウォルト・ディズニーへ」2月17日公開予定

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絵画の歴史 洞窟壁画からiPadまで

デイヴィッド・ホックニー&マーティン・ゲイフォード

翻訳 木下哲夫
図版310点掲載
判型:A4変
総頁:360頁
上製本
定価:本体5500円+税
ISBN 978-4-86152-587-2 C0070

<目次>
序 画像、美術、そして歴史
1 画像と現実
2 徴をつける
3 影とごまかし
4 時間と空間を描く
5 ブルネレスキの鏡とアルベルティの窓
6 鏡と映像
7 ルネサンス:自然主義と理想主義
8 紙、絵具、複製される画像
9 舞台を描く、絵画を上演する
10 カラヴァッジョとカメラのような目付きの男たち
11 フェルメールとレンブラント:手、レンズ、そして心
12 「理性の時代」の真実と美
13 1839年以前と以後のカメラ
14 写真、真実、そして絵画
15 写真を使う絵画、使わない絵画
16 スナップショットと動く映像
17 映画とスチル写真
18 終わりのない画像の歴史


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